デザインを知りたい・触れたいと言うニーズから2022年度挑戦的に始めました。講師である中村孝太郎先生はデザインの技術的な教授もさることながら、先生の「面白い生き方」「魅力的な語り口」「奇抜な発想」にメンバーが触れていくプログラムになりました。
第一期では、自分の名前のレタリング(文字をデザインすること)に挑戦。先生が提示した工程とスケジュールに沿って行われました。作業をする中で生まれたメンバーシップは持続され、第二期へとつながります。
ところが、第二期で中村先生が打ち出したコンセプトは「同じ不安を共有しながら作品を作る」と言う、作品の出来上がりよりも過程を重視したものでした。スケジュールの半分以上は「コンセプト決め」に費やされ、ひたすらメンバーと議論が続きました。またアイデア集めのために文京区にある印刷博物館を見学し、活版印刷の体験を行いました。何も見えないところから自分の意見を出し仲間の声に耳を傾ける時間を、メンバーたちは「たくさん考えることができて楽しかった」「みんなの意見は面白い、新鮮だった」と目を輝かせました。
結果、メンバーが懸命に食らいつき挙げ句の果てに葛藤を楽しんでしまう面白いプログラムになりました。
最終的に、それぞれがページを分担して一冊の作品である「ZINEリズムと違和感」が完成しました。思う存分個性を発揮し、それが拮抗せずに一つの冊子として成り立ったのは、最後まで細部の作り込みなどの話し合いを厭わなかったメンバーの熱量があってこそだと思います。